「相乗積って何?どんな時に使うの?」
ここでは相乗積が何かをわかりやすく解説します。
また店舗運営していて、どういったときに相乗積を使うのかを具体的な事例と一緒にご紹介します。
相乗積とは?
相乗積は粗利ミックスとも呼ばれます。
小売店においては複数の商品を扱っており、商品ごとに粗利益が異なる場合がほとんどです。
もちろん、商品をどのような組み合わせ、どのような構成比で売るかによって、店舗全体の粗利益高は大きく変化します。
店舗の粗利益高において、どの商品(または部門、カテゴリ等)がどれくらい貢献しているかを分析するのが相乗積(粗利ミックス)です。
相乗積(%) = 売上高構成比 × 粗利益率 × 100
・この店舗の場合は店舗全体の粗利率は25%になっております。
・区分Aと区分Cは粗利益率と売上構成比は異なりますが、相乗積で考えると店舗全体における粗利益高貢献度は同じです。
これを実際の店舗で考えてみましょう。
相乗積を活用した具体例①
先ほどの表①をドラッグストアで考えてみたいと思います。
例)集客アップの為に食品カテゴリを強化したい
この店の売上高を仮に1日100万円とします。(売上高100万円、粗利益高25万円)
集客の為に食品を強化するとします。
●食品全体の値段を下げる。(粗利率5%減)
●日用品売場を縮小し、食品売場拡大する。(売上構成比変更)
結果として、店舗全体で粗利率が25.0%から23.5%まで減少しました。
この取り組みの結果、どれくらい売上高が増加すれば、成功と言えるでしょうか?
・250,000ー235,000円=15,000円(粗利益高減少分)
・15,000円÷23.5%=約63,830円(粗利益高減少分を補うための売上高)
今回の場合は、食品カテゴリ強化で集客を図った結果、1日約6.4万円売上高が増加すれば、成功したと言えるでしょう。
集客目的とはいえ、6.4万円分食品で売上を作ろうと思えば、単価が200円の商品でも320個売らないといけません。
相乗積を考えずに集客目的と他の売場を縮小して、お菓子を多く展開しようとする店長もいますが、商品補充とレジでスタッフが忙しくなるだけで、店舗の数字がマイナスになることもあります。
もちろん粗利益高を減少させてでも、売上高や客数の増加に力を入れるタイミングもあるので、戦略としても粗利益高減少も悪いわけではないです。
例)医薬品(健康食品含)売場を拡大し、食品売場縮小する
こちらも売上高を仮に1日100万円とします。(売上高100万円、粗利益高25万円)
今回は食品のエンドプロモーションを削って、医薬品・健康食品混合のプロモーションに変更します。
●食品売場を縮小し、医薬品売場を拡大する。(売上構成比変更)
結果として、店舗全体で粗利率が25.0%から26.25%まで増加しました。
売上高が減少すると決まってるわけではありませんが、今回の場合であれば粗利益高が確保しやすいので、仮に1日約4.8万円売上高が減少しても、成功したと言えるでしょう。
例えば本社から上司がきて「お菓子売場を無くして、健康食品に変更」という指示があるかもしれません。
その時に「お菓子の方がよく売れていた」という人がいますが、上司は相乗積を考えて、粗利益高の確保が必要と判断したのかもしれません。
【問題】相乗積を活用した具体例②
店舗の売上高が1日100万円、粗利益率24.0%のスーパーマーケットだとします。
【問題】
店舗全体の粗利益率を改善するためには、次のうちどの対策が効果があるでしょうか?
①粗利益率の低い“日配”売上構成比を5%下げて、“肉屋”売上構成比を5%上げる。
②粗利益率の高い“総菜”売上構成比を5%上げて、“グロサリー”売上構成比を5%下げる。
③無駄な安売りを是正し、原価が安い本部送り込みを活用することで“グロサリー”粗利益率を5%上げる。
一度考えてみてください。
【解答】①
①粗利益率の低い“日配”売上構成比を5%下げて、“肉屋”売上構成比を5%上げる。
【解答】②
②粗利益率の高い“総菜”売上構成比を5%上げて、“グロサリー”売上構成比を5%下げる。
【解答】③
③無駄な安売りを是正し、原価が安い本部送り込みを活用することで“グロサリー”粗利益率を5%上げる。
【解説】
今回の答えは③です。
各部門の粗利益率や売上構成比を考えて、売場変更や店頭スポット変更は言うまでも必要ですが、少しでも原価を安く仕入れて、無駄な安売りをやめることで店舗の数値は大きく改善します。
まとめ
今回は相乗積について具体的な事例を紹介しながら、簡単にわかるようまとめました。
相乗積(%) = 売上高構成比 × 粗利益率 × 100
店舗の利益改善のために必要な一つのポイントとして抑えていきましょう。
相乗積を使って分析することで、簡単に数値を改善しやすいポイントが分かります。
ポイントを抑えずに感覚で仕事していると、いろいろと工夫をしてるのに結果に繋がらないということになります。
相乗積を使って、数値改善していきましょう!