「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」(昭和39年厚生省令第3号)における一般用医薬品(OTC)の販売時間規制(OTCの販売時間が当該店舗の開店時間の一週間の総和の2分の1以上:いわゆる「2分の1」ルール)が廃止される方向になりました。
OTC販売に携わる登録販売者、ドラッグストア業界の今後はどうなるのでしょうか。
コンビニエンスストア優遇?
大手コンビニエンスストア企業が加盟する日本フランチャイズチェーン協会からの規制緩和要望を受け、OTC販売の「2分の1」ルールが廃止される方向になりました。
コンビニエンスストア業界は登録販売者の確保が厳しい状況が続いています。
営業時間も長いことから「2分の1」ルールがあるため、思うようにOTC販売ができませんでした。
「2分の1」ルールとは
OTC販売について保健衛生上支障が生じることがないよう、医薬品の専門的知識を有する専門家(薬剤師または登録販売者)が店舗内に常駐して対応することが求められています。
営業時間については、医薬品の相談を受けて対応できる時間を十分確保できるよう、医薬品の相談が受けられる時間(専門家が店舗内にいる必要がある時間)が対応できない時間を上回ることが条件とされています。
この営業時間の条件がOTC販売の「2分の1」ルールと呼ばれるものです。
コンビニエンスストア業界の要望を政府が受け入れた形です。
登録販売者は必要なくなる?
「2分の1」ルールが廃止されたからといって、登録販売者が不要になることはありません。
「2分の1」ルール廃止のメリット
・コンビニエンスストアでの扱いが増えるため、医薬品扱い店舗数が増え、雇用増加が期待できる。
・お客さんにとっては、医薬品が買える場所や時間が増えるので、便利になる。
・コンビニエンスストアや、今まで「2分の1」ルールで参入できなかった企業が、医薬品を扱うことで、売上が増加する。
「2分の1」ルール廃止のデメリット
・1店舗あたりの登録販売者の必要時間が減ることによる、雇用削減が懸念される。
・ドラッグストア業界や、既存のOTC販売企業の売上が減少する。
・医薬品販売店舗が増えることで、医薬品使用時のトラブル(誤った使用、健康被害)が増加する可能性がある。
登録販売者協会の見解は?
日本医薬品登録販売者協会の樋口俊一会長は、「登録販売者不要論の再燃」につながるとして、「大反対」とのコメントを出されました。
「2分の1ルールが廃止されれば、登録販売者が店舗に常駐する必要がなくなるわけですから、登録販売者を必要とする職場が減少します。せっかく資格をとっても、活躍できる場が減ってしまうでしょう。登録販売者(販売従事登録者)はすでに20万人を超え、登録販売者試験合格者は30 万人に達し、毎年2万人強の単位で増加しています。これだけ多くの方々が登録販売者として職業に就き、医薬品販売を通して地域住民の安心・安全を担保しています。2分の1ルールの廃止は、これらの登録販売者の員数規定を廃止することであり、日本国憲法第22条第1項においては保障されている『職業選択の自由』を侵害する恐れもあると考えています」(樋口会長)。
日本チェーンドラッグストア協会の中澤一隆専務理事は、「残念ですが、厚生労働省が決め、内閣府の規制改革推進会議が了承したことですから、これ以上申し上げることはありません」と、廃止を受け入れるコメントをされています。
まとめ
「2分の1」ルール廃止だから、登録販売者ほ廃止などということにはならなさそうです。
むしろ、需要が高くなり、活躍の幅が広がる可能性もあります。
早めに登録販売者資格を取得し、資格をいかして働きましょう。